アニマルウェルフェアとは
アニマルウエルフェア(動物福祉)の定義
アニマルウエルフェアとは、「人が動物に与える痛み・ストレスなどの苦痛を最小限に
アニマルウェルフェアは、西洋で主にブタ、牛、鶏などの家畜動物を
5つの自由
1979年、
- 飢え、渇き及び栄養不良からの自由
- 物理的及び熱の不快からの自由
- 恐怖及び苦悩からの自由
- 苦痛、傷害及び疾病からの自由
- 通常の行動様式を発現する自由
※図:農林水産省「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理等」より
世界のアニマルウェルフェア
畜産動物のアニマルウエルフェア
家畜動物のアニマルウエルフェアを考える上での主要なテーマは、「採卵鶏のバタリーケージ飼育」や「母豚の妊娠ストール」といった閉じ込め飼育(ケージ飼育)です。
動物を狭い所で閉じ込めて飼育することを禁止しようと、欧米を中心に法規制・企業による自主規制が進んでいます。
2022年現在、日本の養豚場の90%が妊娠ストールを使用しており、母ブタを身動きのとれない檻に閉じ込め、妊娠→出産→交配→妊娠…から逃げられない状況下においています。
写真:アニマルライツセンター公式サイトより
EUでは、市民140万人の署名により、2021年6月、欧州委員会が、「飼育動物のケージを禁止する」ことを発表しました。これは、産卵鶏や母豚の閉じ込め禁止に加え、ウサギ・若鶏・種鶏・カモ・ガチョウなども規制の対象とする予定になっています。
写真:「イギリスの放牧母豚、ハットと呼ばれる簡易な小屋で分娩する」
ブタの妊娠ストールを廃止または段階的廃止している国は、イギリス・EU・スイス・ニュージーランド・米国・オーストラリア・カナダ・南アフリカ・ブラジル・イスラエルなどです。
イギリスでは、養豚場の約40%が屋外飼育を行なっています。
展示動物のアニマルウエルフェア
諸外国では、動物の展示そのものが議論されています。インドがクジラ目の動物の飼育を禁止したり(2013年)、韓国が新たにつくられる水族館ではイルカの飼育を禁止したり(2018年)、フランスが野生動物の展示を禁止を決定する(2021年)などの動きがみられます。
スペインでは、動物園とイルカ水族館において外来種を購入したり繁殖したりすることを禁止し、これらの施設を在来種の回復センターに変えようとする動物福祉法案が議論されています。
実験動物のアニマルウエルフェア
ボロニア宣言
1999年「生命科学における代替法と動物使用に関する世界会議」でボロニア宣言が採択されました。
- 動物を使用しない方法に置き換え(Replacement)
- 利用する動物の数を減らし(Reduction)
- 動物に与える苦痛を少なくする(Refinement)
実験動物の段階的廃止
2015年3月、EU市民が動物実験の廃止を求める117万名の署名を提出しました。欧州委員会がそれを審議し、動物実験廃止提案は退けましたが、報告書に「EUは動物実験を段階的に廃止すべきという市民の考えを共有しており、動物実験の段階的廃止はEUの法規制の最終目標である。」と記載しました。
そして、2021年9月、欧州議会は、動物実験そのものを段階的に廃止するためのEU全体の行動計画を確立するよう欧州委員会に求める決議を採択しました。
愛玩動物のアニマルウエルフェア
ペットブームの度に、飼育放棄や動物虐待が起こり、悪質なブリーダーが劣悪な環境で繁殖させることが、社会問題になっています。
諸外国ではペットの展示販売そのものが問題視されるようになっています。フランスでは、動物福祉や衝動買い防止の観点から、犬猫のペットショップでの販売を2024年から禁止することが決まりました。
日本のアニマルウェルフェア
畜産動物のアニマルウエルフェア
「家畜動物のアニマルウエルフェア」について、日本は国際社会の中で後れを取っており、世界動物保護協会(World Animal Protection)の評価によると最低ランクのG(2020年)となっています。
2022年5月、農林水産省は、畜種ごとの指針案を発表しましたが、法律に基づく指針ではないため、罰則はなく、畜産業者に委ねられているのが現状です。
ただ、民間レベルでのアニマルウエルフェアの意識は高まっており、ニッポンハムグループは、2030年度末までに豚の「妊娠ストールフリー」、2023年度末までに農場・処理場への「引水設備」や「カメラ設置」を発表しています。
「小中学校でのアニマルウェルフェア教育」や「国際獣疫事務局(
展示動物のアニマルウエルフェア
日本では、動物が寿命を全うする最期まで飼育し続けること(終生飼育)が大原則となっています。
また、動物園や水族館などでは、アニマルウエルフェアの考え方で飼育・展示を見直す動きが活発になっています。
2015年、札幌市円山動物園でマレーグマが訓練で衰弱し、死に至る事件がありました。これを受け、札幌市は2022年6月6日、日本初の動物園条例制定しました。
条例では、札幌市・市民・市内事業者が、動物への学びの機会を提供し、生物多様性保全に貢献するとしています。
愛玩動物のアニマルウエルフェア
日本では2021年6月施行の「動物の愛護及び管理に関する法律」で、犬猫を扱うペット業者の繁殖・飼育方法に、「従業員一人当たりの飼育頭数の上限」や「ケージの広さ」などが規定されました。また、2022年6月1日よりマイクロチップの装着を譲渡日までに行うことが義務化されています。
この法律の愛護動物の範囲は、犬猫だけでなく、哺乳類・鳥類・爬虫類にも拡大されています。ただ、現在は、具体的な繁殖・飼育方法への規制の数値などが犬猫にだけ明確に示されている状況です。
愛護動物をみだりに殺したり傷つけたりした者への罰則は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」、虐待や遺棄をした者への罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」となっており、法改正で厳罰化されています。
ペットを衝動買いしたり飼育放棄したりする人が出ないように、飼育者にもブリーダーにも大きな責任が課されています。
pignicのアニマルウェルフェア
ケージを使うのは必要最低限
pignicのpigちゃんは、部屋や牧場内を自由に移動できます。ケージを使うのは、その子を分ける必要がある時だけです。喧嘩・怪我・体調不良時に一時的に使ったり、ご飯の量が適正になるようにご飯の時に使ったりします。
お客様のふれあいで活躍しているpigちゃんですが、元々、気を使わない自由気ままに生きる動物なので、室内でも屋外でも自分の好きなところで過ごしています。
水をいつも飲める環境づくり
室内でも屋外でもいつでも水が飲めるように、室内の各部屋のトイレの横と屋外のいたる所に水を設置しています。床が濡れてしまうこともありますが、お客さまにもご理解いただいております。
フードの適正管理
pignicでは、pigちゃん専用フードを体重や体格に合わせて計算し、適量のフードを食べさせています。痩せすぎて免疫や体力が落ちないように、また太りすぎないように、健康な体づくりに努めています。
暑さ・寒さ対策
屋外で遊ぶpigちゃんには、夏はプールを用意し、自由に水浴びができる環境にしています。
また、冬はコルツヒーターを用意し、寒くなったら自分でヒーターの下に行って温まれる環境を作っています。
pigちゃんの個性に応じた配慮
pigちゃんの性格は、人間と同じように気の強い子もいれば怖がりで繊細な子もいます。大きなストレスがかからないように、繊細な子には隠れることができる場所を用意したり、別室で休ませるなどの配慮をしています。
妊娠〜離乳のストレス低減
妊娠したpigちゃんも仲間と一緒に牧場で楽しく遊んでいます。出産後は、ママと赤ちゃんが安心して過ごせる部屋を用意し、段階的に離乳していきます。
ご家族の飼育をサポートし、飼育放棄を防ぐ
pignicでは、卒業生のご家族様とLINEでつながり、飼育相談をお受けしています。獣医師をご紹介し、健康もサポートしています。ご家族がお世話できない時も飼育を継続できるように、ホテルでお預かりサービスもしています。
避妊・去勢について
pigちゃんは発情期には、人にもマウントしたくなってしまったり、人に対して鼻堀りや齧りをしたくなったりしてしまいます。
避妊去勢すれば、発情期のイライラはなくなりpigちゃんは落ち着いて過ごせますし、ご家族も飼育が楽になります。
避妊去勢をすることは、愛護動物をみだりに繁殖させないという目的で「動物の愛護及び管理に関する法律」でも定められています。
pignicでは、アニマルウェルフェアの観点から、避妊・去勢の際に麻酔・痛み止め・抗生剤を投与してpigちゃんへの負担を軽減し、獣医師による適切な手術をおこな
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